OSO18と呼ばれたヒグマを知っていますか?
2019年7月16日。北海道の評茶町オソツベツで1頭の乳牛が行方不明になったことが始まりで、その後牛を66頭も襲い、そのうちの32頭を殺しながらも追跡から逃れていた怪物と呼ばれたヒグマです。
2023年7月30日にハンターが退治したヒグマがそのOSO18だったと判明したのは、同年8月21日の夜でした。
4年間猛威を振るったOSO18。その最期は思いがけないものでした。今回はOSO18によって起こった実害と、話題になってNHKの取材力のどこが凄いと称されているのかまとめていきます!
OSO18とは
2か月で28頭の牛が襲われ、その現場には共通の痕跡(体毛・幅18cmの足跡)が残っていたのでこれが1匹のクマによるものだと判断されました。そして最初の被害現場が「オソツベツ」だったことにちなみコードネームが「OSO18」となりました。
特徴として当初は以下の3点があげられました。
・人間の前に姿を現さない
被害が起った時刻は、夏の夜。襲われた牛を発見する頃にはOSO18の姿をとらえることは出来ませんでした。また、猟師さんや役場職員が現場周辺を見回りしても戻ってくることはなかったそうです。
森に仕掛けられた自動撮影カメラにも映っていなかったのは驚きですね。
・罠を見抜く
夏場は葉が生い茂るため、見通しがつかず危ないため通常は罠を仕掛けるそうです。
しかし、OSO18はこの罠を見抜いたのか一度もかからなかったそうです。
・牛を襲う理由が不明
冒頭で書いたようにOSO18はたくさんの牛を襲っていますが、あまり食べていなかったようです。犠牲になった牛の半分ほどはただ傷をつけられただけでした。
一般的な熊は仕留めた獲物を一度土の中に隠し、あとで戻ってくる。という行動をとるようですが、OSO18に関してはそうした行動は見られなかったのです。
食べることをあまりせず、また獲物に関する執着心がないことから「襲うことを楽しむ快楽犯」とささやかれました。
めちゃくちゃ怖いですよね…
襲うことを楽しみ、捕まらないために行動時間が夜で罠も避けるなんて。
もちろん冬場に猟師さん達は足跡を探し、それを頼りに狩る予定でした。こんな恐ろしいクマほっておけませんものね。しかし何故か、足跡が発見されなかったそうです。スノーモービルを使い森の奥まで探索したのにも関わらず…
突然の終わり
2023年8月22日「OSO18捕獲」と北海道庁は会見で発表しました。
DNA検査で確認されたものであり確かのものでしたが、捕獲された日はまさかの7月30日!
そしてOSO18を捉えた猟師は市役所の職員で新人猟師でヒグマを仕留めたのはこれが初めてというではないですか。これをニュースで見た衝撃が凄かったのを覚えています。
OSO18は体長2m10cm、体重330kg、足の幅は20cmもありました。
仕留めた場所は釧路町オタクパウシとこれまでの行動範囲より離れた場所でした。そのため誰もそのヒグマがOSO18と思わなかったようです。念のためにとDNA検査をしOSO18だということが確認されました。
これまでと違う行動範囲、今まで人前に姿を現すことがなかったのになぜこの時はいたのか…
それでもこの被害が終焉したことには、みんなが安堵しました。
ちなみにOSO18は捕獲後、ジビエ加工業者にて食肉加工し、通販で販売されていました。
こちらも当時話題になりましたよね。
NHK SPECIALのここが凄かった!
では、本題です。
『OSO18¨怪物ヒグマ¨最期の謎』これは2023年10月11日(水)にNHKスペシャルで放送されました。
NHKは8月22日に記者会見が行われたその日の内からOSO18に関する取材されていたようです。
ジビエ加工業者の社長さんがOSO18を解体した方で解体時に感じたのは「胃の中は空っぽで体毛は極端に薄かった。高齢のヒグマだろう」と印象だったそうです。あの時OSO18と知っていれば、詳しく調べれたと悔やんでいました。
「頭部は、ハンターが剥製にしたいと考えていたが、銃弾で頭蓋骨が粉砕されていたため、断念して処分したと聞いた。手足は、東京に住むという中国人が買っていった。肉はジビエとして28万円で釧路の通販業者に売り、そこから全国のレストランに流通していった。」
どこの部位も残っていない状態でしたが、それ以外の部分である骨・内臓・皮は敷地内の堆肥場に捨てたと回答をもらった取材班はそこで「見たい」と答えました。が、「探すのは無理だ」と返答。というのも、一日20~30頭解体しているそうでそこには内臓や糞などでダンプカー3台分のなかに埋もれているからでした。
その現場に案内した社長さんは「探したいなら、探してもいいよ」と言いました。
無理だし、諦めると思ったからでしょうね。しかし、NHKは諦めずその中からOSO18の骨を探し当てました。
すごい執念ですよね。昨今はSNSで「○○の記者です。この写真についてお聞きしたいことが─」と済ますものが目立つ中、取材スタッフの意地を見せつけられましたね!
ちなみに骨を掘り起こしたのはディレクターさんだったようです!
骨から何がわかったか
その掘り起こした骨で何がわかったか。
「本来であれば、良質な果実や草なども食べるところOSO18は弱い個体だったためそれがあるエリアにナワバリを作れなかった。落ちていたエゾシカの肉を食べ、そこから肉だけを食べるようになり栄養が偏った。飢餓状態で弱っていた時に狩られた。」
熊には肉食なイメージがありましたが、本来は果実がメインなんですね。OSO18は本来の食生活から離れた肉食の生活で体を壊していた可能性も示唆されました。
怪物と称され恐れられたOSO18。その幕引きが飢餓からの射○…
なんとも切ない最期でしたね。
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